応えることと、呼びかけることと。
第五通目/僕はあなただったかもしれない。あなたは僕だったかもしれない。/読書会のお誘い×2/マーブル模様の自己/抽象で日々の差異を押しつぶさない
安久都智史
2024.11.05
読者限定
先日開いた、夜明け前のお散歩にて。
向かいの道から手を振っているあなたを見て、嬉しくなって振り返そうとする。右手を持ち上げたところで、僕の後ろであなたと仲の良い人が大きく両手を振っていることに気づく。すでに挙げられた右手は宙をさまよい、痒くもない首筋を掻く。
いつの記憶かわからないけれど、このような宙ぶらりん状態になることがある。呼びかけに返事をしたものの、僕宛てではなかったことを知り、咳払いもどきをしてごまかすような。「勘違いなんてしてませんよ、そんなに自惚れてないですよ」とでもアピールしながら、残らない傷を負うような。