ふと止まった筆には、なにが宿っているのでしょう
第一通目。おしらせ/からだの大切さ/迷いつづけたい/世界は自分で、自分は世界。でも、自分は自分。/とはいえ、遊んでいたい
安久都智史
2024.07.14
読者限定
よし、お手紙を書いてみよう…と思いついたものの、いきなり筆が止まっている。文章を書くときは、たいていそうだ。さらさらと書き出せることなんてほとんどなく、書いては消して、書いては消してを繰り返す。真っ白な画面になって、そのまま「無題」となった下書きが無数に存在している。でも、その真っ白は“無”じゃないんだよな、と思ってもいる。これがノートだったら、まとまらない文字が踊っているんだから。
このお手紙のなまえは「とろ火で迷いを煮込んでみたら」に決めた。煮込んでみたら、なにができるんだろう。美味しくなるのかな、ふつふつなにかが浮かんでくるのかな、気づいたら焦げてるのかな。わからないけれど、僕の日々の迷いをゆっくり煮込んでみる場にしてみたい。その先で、“僕”の迷いが“わたしたち”の迷いになったら嬉しい。